OM研究所 現在未来 INTERVIEW vol.1 2004/3/9 OM研究所所長野沢正光その1
N :野沢正光  T :丹羽朋子
地球デザインスクール

T :

まずはOM研究所の最新の仕事、京都での『地球デザインスクール』の設計についてお聞きしたいと思います。そもそもの始まりを聞かせて下さい。

N :

そもそもって言われても… ねぇ。

T :

あんまりちゃんとってことでなくてもいいですから。

N :

ホームページで調べてもらうとわかるんだけど、丹後の計画は長くて、5、6年前から京都大学の沢田敏男さんや窓口になっている京都府の桜井さんたちが、府の計画として、長い間丹後今津の森でいろいろな大人っぽい活動をしていて。

T :

大人っぽいとは?

N :

いろいろやってるんだよ。子供も参加して、丹後の森の中での一種の里山活動。木材を手入れするとか、そこから出てきたチップでボイラーを燃やしてみるとか、森の中にモノレールみたいのを作って移動してみるとか…。いろんな活動がもう5年ぐらい。ん、もっとあるのかな?

T :

丹後の話ってかなり前から(OM研究所の周辺で)ありましたよね、確かバブリーな頃、1990年代前半。

N :

そうそう、あの頃のリゾート計画は頓挫して。

T :

でも、連続しているわけですよね。

N :

京都府主導によって(その当時なりに)丹後の話が随分盛り上がっていて、ずっと長いこといろんなことをされていたみたい。それで、桜井さんたちがそろそろ、って。
廃校が拠点になって、そこに『地球デザインスクール』の看板がある。風力やってみたり、いろいろやってる。

T :

あ、『地球デザインスクール』っていう集まりがすでにあるわけだ。

N :

そうそう。

T :

単に建物の名前じゃないんだ!

N :

そう。森の中で子供が活動するちょっと明るいエリアとか、切り出して用材に使えるようにどっかに蓄積してある材木だとか、ま、いろいろ。参加者は主に京都市内の人が多いのだと思うのだけど、ずーっとあるわけですよ、活動が。それについては僕全部知ってるわけじゃないんで(笑)。
その中でおそらく、OMソーラーとの接点があったんだな。OMみたいなのも面白いなと思ってくれてたみたいで。そんな前提があったところ、そろそろ施設が要るぞってことになって。それも多様に。次第にいろんなものが必要になってくると思うんだけど、まず地球デザインスクール本体の施設と、きちんと宿泊できる施設。
それから、地球デザインスクールのエリアの整備をして、公園として開放する時期も決めてあると思う。おそらく再来年かな。

T :

いわゆるその手の施設の場合は、今までどちらかといえば入れ物を先に作って、という感じでしたが、ソフトが既にあった上で建物が要るようになったから作ろう、となったのはいいですね。

N :

活動がね。ソフトっていうよりむしろ実績があって、人間のグループが出来ていてNPO活動をしている。主力になっている先生たちの情報量とか活動歴とか、しっかりしたものがあるわけ。

T :

コンペだったんですか?

N :

プロポーザル。

T :

どのくらいの?

N :

5、6社だったんじゃないかな。絵を書いて、懸案内容が何種類かすごく難しいことも書いてあった。設計事務所に頼むようなことでなく、もっと大きめの。

T :

具体的には?

N :

例えば、ここにこういう施設ができることによって地域とどう繋がるべきかとか、地域産業のどんな活力になり得るかとか。設計事務所はそんなことわからないよなーといったこと(笑)。でもまぁ、多少そういうことにも4、5枚のシートを作って。
審査員がどう判断したかわからないけど、OMでやってくれるといいなと思っていた人もいたんじゃないかな。他案を見てないのでわからないんだけどね。(研究所スタッフの)武山は、芸大出て前川事務所行って京都で先生してる横内敏人の案なんかは個人的に見ているかもしれない。他は坂倉事務所大阪、坂本一成さんなど。

T :

で、結果、選ばれたと。今どんな段階なのですか。

N :

実施設計はほぼ終わって拾いに入ってるんじゃないかな。

T :

図面はこっち(OM研究所)で書きました? (地元)京都の設計事務所にお手伝いは頼まず?

N :

うん。全部ここの仕事。ここは役所の仕事の経験がないので、やばい事務所だといけないってことで、設計料もらう前に150万か200万だか預かられちゃって(笑)。

T :

某大学も訴えられましたし、150万で済めばまだいいかも(笑)。

N :

年度内の仕事だから大変だったけど、なんとかまとまったかな。

T :

じゃ、現場はこれからだ。

N :

現場は来年度、監理は営繕がやるみたい。でも設計の仕事としては来年度に宿舎の設計が同じぐらいの規模で出て、それをやっている間に現場が動くから見てくれって感じになるんじゃないかな。そうやって来年度付き合ってると、他の場所でどんな活動をしていくかという話も出る。ま、すぐに建物を建てるという仕事にはならないと思うけど。

T :

全体の規模ってどのくらいですか?

N :

びっくりヘクタールぐらいある。

T :

(笑)。なんですか、そのびっくりヘクタールって。

N :

規模がすごいんだよ。これはさ、もともと奥村(昭雄)さんがバブルの頃にレポート出している土地。永田(昌民)さんと行って「そんな計画やるべきじゃない」って喧嘩して帰ってきちゃったやつ。

T :

あー、なんかでっかい模型つくりましたよ。

N :

その周辺はリゾートマンションが建ってたり、ゴルフ場になってたりするところで。ゴルフ場はもっと古い開発かもしれないけど。

T :

はっきりとしたエリアが規定されているわけではないのですか?

N :

はっきりしてるよ。以前京都府が作った資料の中にあるけど、丹後半島にぼそっと広大な土地があり、その中にいくつかの拠点に整備計画があって、そのひとつめ。

T :

地球デザインスクールの活動そのものはどのくらいの規模なのかしら?

N :

どうなのかな。僕はちらっとしか見てないんだけど、武山は廃校に泊まったり、何度か行ってるから状況知ってると思うよ。

T :

その活動のスケール感は武山さんがわかってるんですね。

N :

わかってると思う。僕は、京都府に呼ばれて行って、一緒に活動している京大の先生とかと話して何となくつかんでるという感じですけど。その活動自体はWEBで報告されているんじゃないかな。
逆に僕らはスクールの活動についてよくわかってるわけじゃなかったから、横浜国大の友人、大原一興さんに最初のプロポーザルの時に少し手伝ってもらったんだけど、プロポーザルのヒアリングで向こうに行ったら、ぞろぞろそういう(ノウハウを持った)人達がいっぱいいて、なんで大原さんが出てこなきゃならないのって感じだった。蓄積がきちんとあるというか。
岐阜に三澤文子さんがやってる森林文化アカデミーっていうのがあるじゃない。あそこで似たような、いや、似たといってもアカデミーだから多少違うけど。山道があったりすると個所個所に杉やヒノキが植わってるわけよ。50年ぐらい前、戦後、村の青年団みたいなのが元気だったころに、将来彼らの家を作ったり直したりするのに、全体はそんなに針葉樹の森ではないんだけど、案外切り出し良さそうなところに植林してある。これがちょうど最後の間伐期っていうか、80年になってから使えるとすると、今50〜60年だから最後の間伐しておかなきゃいけないというのがあって。僕は行かなかったけど、研究所スタッフとOM計画の安西君、OMソーラー協会の本田さんらが、皆でどのくらいそんな木があるかを測りに行ったら、ここにあるヒノキでいけるじゃないってことになって、総ヒノキになっちゃった(笑)。
その時、印象的に地元の木だってだけじゃなくて、森林文化アカデミーがやってる木材の評価、すなわち移動距離ってCO2発生量に関係するし、外材はお金が安くてもCO2でみるとすごく高価なものだっていう観点からの評価=ウッドマイレージをやってみたりだとかね。
少しこの仕事を頼りにしながら、前から僕らがやろうとしていること…OMソーラーのシミュレーションはそこだけ取り出せば一部の仕事だし、外部の人の仕事を請け負ってそれを僕らがやったりだとか、サジェスチョンしたりすること…は一種のコンサルタントだと思うから。そんなサービス幅を広げるというか、パッシブ的に考えられることをこの仕事の中から探して、それについては少しコストがかかってもいろんなサービスの種類が増えていく、あるいは興味を持てる量が増えてくるというのが面白いなと。

T :

関わる人たちにとっても蓄積になりますしね。

N :

うん。それと、ソーラーだけじゃないよということをやって行きたい。ウッドマイレージの考え方に触ったのはこの時が初めてっていうか。そういう理解をしてみたっていうのはね。(研究所は)そういうことをしてる印象だけど、実際に物差を用意してみたのは初めてじゃないかな。

T :

完全な木造ですか?

N :

完全な木造。ただ一部厨房があったりするので、RC部分もありますけどね。総ヒノキづくり(笑)。

 
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