OM研究所 現在未来 INTERVIEW vol.6 2005/03/09 OM研究所所長野沢正光 その6
 

 このコーナーでは、OM研究所所長/野沢正光を中心とした関係者への定期的なインタビューを通じて、より多くの方にその時々のOM研究所の活動や方向性を知ってもらいたいと考えています。同時に私自身にとって、それらの話題や出会いが、日々の設計活動を行っていく上でも貴重な刺激になることは間違いありません。
 OM研究所の活動をより立体的に理解していただけるよう、これからも様々な企画を試みていきたいと思います。

丹羽朋子(企画構成・デザインガレージ主宰)
 
N :野沢正光  T :丹羽朋子  入江 :入江可奈  竹本 :竹本千之 
東村山本町地区プロジェクト

T :

まず今日審査結果の発表があった、東村山市本町地区プロジェクト※プロポーザルコンペ案の話をおうかがいしたいと思います。

N :

東村山の、都営住宅のあった土地をどうしようかということになって、東京都はお金ないし、みたいなところだと思うんだけど、民間にやらせて優良な住宅地を…

T :

やっぱり都営住宅を?

N :

ちがう、民間の分譲住宅地。売るんだけど70年の定借(定期借地権)なの。コンペでなるべく良い案の人にそれを渡すと。もちろん事業者は適正な利益をあげてもいい。

T :

上納金だけは決まっている。

N :

そう。東京都はいろんな形での住宅事業をどう整理するか考えたらしく、企画段階で各所にヒアリングがあった。都がどんなことを考えているかわかってたから、僕が関わっている『コープ住宅推進協議会※』のメンバーとコーポラティブ方式で参加出来ないかとぼんやり考えてた。ふたを開けてみたら、70年定借であること、会社を作ってずっと(70年間)地代を徴収しなければならないこと、主に戸建であることもあってか、なかなかそれにちょうど良いディベロッパーがいなかった。

T :

会社が70年続くかどうかわかりませんものね。

N :

それから保育園、デイサービスなどの福祉施設、それから商業施設も入れてくれと。ディベロッパーは得手不得手があって、戸建を運用しているものや定借はあまりない。

T :

面倒くさくてやってられないか。

N :

プロジェクト全体を計画する「まちづくり提案」の方に手を挙げたディベロッパーは結局2社だけ。もう一方がわれわれの参加した全体計画のうちの何棟かを坪50万円で作ってくれという「実証実験」セクション。石原慎太郎都知事が「東京都の住宅の坪70万円は高い、3割下がらないか」というのがあって、50万円で優良な住宅供給に手を挙げる人はいませんかというわけ。それにもいろいろとメニューがあった。50万ギリギリである質のものを提案するものとか、質は割り切ってコストが非常に下がるものとか、コストと質の両方を目指しているものとかね。東村山といえば相羽(建設)さん、大将に戦いに挑む気があるかと聞いたら、地元としてぜひやりたいってことになったわけだ。

T :

それはビルダーとして関わるってことじゃなくて?

N :

ビルダーとして関わるんだよ。自分で作るんだから。

T :

作るのはそうだろうけど… 私まだ構成がわかってない。相羽さんが上納するのですか?

N :

違う違う。それはまちづくりで一位になったところが中心になってつくる全体を経営する会社がやる。その株式会社の資本金の数%を相羽さんも出資するということは起きるけど、基本的に相羽さんは何十棟か作って売る。プロジェクト全体のうちの100棟は実証実験として、どういう住宅を提案しますか? それで50万で売れますか? と。彼としては地元の街のことだしやってみたいと。それではわれわれOM研究所、それからOMソーラー協会、3社で組んでやろうじゃないかと。

T :

それはいつ頃の話ですか?

N :

去年(2004年)の夏に公表されて、説明会が8月。受付〆切が9月。プロポーザルの締め切りは11月。ここから2ヶ月ぐらい審査があった。どう見てもゼロから建設までの仕組みをつくることはとっても大変だと思えた。それでいろいろ考えて半田君に参加をお願いしたんだ。構造の山辺君にも。そして以前進めていたシステムE※を下敷きにして考えていった。僕らとしてはなかなか面白いものを考えついたんだけど、金のところでドンッとぶつかっちゃってうまくいかない。当たり前のことだけど新しいアイディアって生産ための施設や流通が出来てないから今は高くなる。すったもんだいろいろやって、現実にできる仕組みにして、将来こんな生産システムが出来たらこうなるよねみたいなことをどっかで頭の中に置きながら現実化を嘆かないということでまとめていった。(我々の気に入っていた基の案は)大型耐震・耐力パネルだけによる住宅、地震力に必要な壁が床を支えいていて、あとは何もなくて、それだけ建ったら家は壊れないというような、そういう集成材パネル… 小径木、間伐材の105ミリ角みたいなのを集めてパネルにして、場合によっては高さ6mぐらいあるやつを立てて、3枚か4枚で床ももつというようなものを考えた。だけど、そのパネルが(値段)高くてさ(笑)。

T :

聞いただけでも高そう。

N :

だけど間伐材だし、工場がある場所の隣とかでやれば高くないんだけど、今だと運んでこなきゃならない。集成材メーカーの人と一緒に面白くやってたんだけど、金の話になるとうまく行かなくて。

T :

それは幾つかあるメニューのうちのどの辺を狙って?

N :

金は上限、クォリティ最高。だって最初からOMソーラーシステムをつけようと思ってるんだから。構造システムは明快でプランの多様性に富んでいる。場合によっては2段階供給にして最初に骨だけ建ててプランは自由とか、一気に建てればその分コストがかからない、みたいなことをいろいろ考えた。ところが金(の話)になると、だんだん今流通しているプレカットにいっちゃうんだよ。

T :

(笑)

N :

「あれが一番安いですよ」って。あれで提案して何が新しいんだって感じで。でも流通が金を決めているからしょうがない。ともかく国産材で行く、外材に替えれば1/3ぐらい(価格が)下がるけど、そこは譲らない。夢としてはどこかに大型集成材パネル工場が出来て、(実際建てる)その時にはそれで行きたいと。簡単なことなんだよ。でかいのをバーッと建ててガーッと。

T :

アメリカみたい。

N :

重機が最初に来てそれだけ建ててしまう。面白いなーと思って、始めはパッシブ何とかとか呼んでたけど、途中から我が提案は『木造ドミノ』にしようと。ル・コルビュジェを真似てドミノシステム※ってことにして、最小限の壁の制約でソーラーシステムを搭載した。あっそう、「実証実験」の案は13社から応募があったんだよ。

T :

具体的な仕様に関して、性能の指示は?

N :

もちろんある。例の住宅性能評価※を取ること。だからレベルの低い類ではない。さらにパッシブソーラー載せたりしているからクオリティアップしているし。我々の他に(選ばれたの)は、現代計画研究所の藤本さんのグループと設計事務所工務店連合のグループ、それから35万でつくる会社が出てきて。今、建売では坪50万なら随分高い方のようなんだよ。パワービルダー系のいわゆるサイディング貼った建売のようなところにとっては。

T :

一社はそういう人たちなわけですね。

N :

そうだよ。(町場では)「野沢さんの設計だと坪100万でも足りないんだよな」っていう工務店ばっかりだもんな。

T :

(笑)。これ実現するわけですよね。

N :

東村山本町プロジェクトの中で実証実験として(選ばれた4社で合計)100棟ぐらい建てる。どこにどう建つかわからないけど、OMソーラーヴィレッジみたいなゾーンができるという可能性もあるし、ぽつんぽつんと混ざる可能性もある。今後の打合せによって決まってくると思うんだけど、場合によってはあるエリアに、緑濃く、屋根にガラスが載った住宅が数十棟並んで建つ可能性もある。

入江

部分によって全然違う町並みになりそうですね。

N :

他は、現代計画は民家型構法だから馴染みは悪くない。それからアキュラホーム、安い住宅を作る… 坪36万円だよ。それと大和工務店という地元の工務店。(アキュラホームの案は)全提案中で最も低価格って書いてある。

T :

はっきりと値段が魅力になるのかならないのかよくわかりませんけれども、建主はどちらを選ぶかということですね。でも我々はきっとマイノリティだろうな。

N :

どうなるのかね。だけどきれいな区域が出来ればまたそれはそれで評価されるし。土地が大きいからね。一区画50坪ほどあるんじゃないかな。だから結構ゆったりとした配置になる可能性がある。それから大きさも、もう少し大きい住宅がほしいといわれる可能性もある。

 
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