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最近あまり山に行かなくなったけれど、たまに出かけると浦島太郎状態の自分に気がつく。といっても、勿論、山が変わるわけではない。どんどん変わってゆくのは、周りの人たちが身につけている装備類だ。食料はお湯をかければできあがりの乾燥食で、メニューも豊富。食器はアルミからチタンへと軽量化がすすみ、カートリッジ式液化ガスのバーナーは、学生時代に使っていたホエブスやスベアなどの真鍮製灯油バーナーとは比べものにならない軽さだ。
昨春、雪倉・朝日岳へスキー登山に出かけた際、山小屋で出会った同年輩のオジサンから、登りも降りも嘘みたいに足が軽くなるという「魔法のパッチ」の威力を吹聴された。なんでも、足の筋肉の筋目に沿って伸縮するよう繊維が織り込まれていて、ショックを和らげるのだそうだ。きつい山行で、体力の限界を感じさせられた直後だけに、「タケコプター」に勝るとも劣らない画期的ツールのように思え、帰京するやいなや大阪の山道具店で1着1万円もするソレを買い求めた。さて、11月に、これさえあればと意気揚々初冬の穂高縦走に出かけたのだが、ひどい寒さも手伝って膝を痛め、足を引き引き這々の体で上高地にたどり着いた。友人に話すと、それは「履き方が悪い」んだそうだ。というわけで、もし私自身が御利益を確認できていれば、このコーナーにパッチの写真を載せるところでしたが…。
山で商品知識を仕入れ、都会に戻ってそれを買いに走った等という話で終わると、いかにも軽薄な中高年登山者という感じなので、ここで少しストイックな側面を、証拠写真も添えてアピールしておきたい。写真のピッケルは大学で山岳部に入ったとき叔父から譲り受けたもの。鉄部にTokyo
Icemanshipという烙印が押されているが誰に聞いても知らないという。もう60歳を越えているのではないかと思われる。ピッケルは、私の学生時代、既にカラビナを通す穴が開いたものが主流だったので、皆に珍しがられ、ちょっと粋に感じて使い続けた。穴がないので、確保するときはシュリンゲを結びつけ、それにカラビナをつけてザイルを通した。木部のシャフトが古いのでショックがかかると折れるのではないかという恐怖感があったが、亜麻仁油を塗り込み大切に使った。写真右横に転がっているアイゼンは、在学中、金欠に陥った先輩から破格値で競り落としたもの。TANIの10本爪で、これも今では見かけない。これから先、もうまともな冬山に入ることはないと思うけれど、これらの古(full)装備で、山をさまよう変なオジサンをみかけたら、私かもしれないので声をかけてみてください。
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