2003/04/11掲載
 

 たしか30数年前の学生時代に、銀座の伊東屋で買ったように記憶してる。たくさんある中から、なぜこのシャーペンを選んだのかは定かではないが、渋いグリーン色に惹かれ思わず手にした。
 当時このシャーペンが一体何者なのかまったく解らなかったし、それさえも知らなかった。このシャーペンを持って暫くしてからこのFaber-Castellという会社に興味を持った。1761年に鉛筆の製造を始め、六角型のデザイン、長さ、太さ、硬度が鉛筆の世界的な基準となったという。なかなかの大御所ではないか…。どんどん愛着が沸いてきた。
 だいたい今まで自分が手にした文具、とくにシャーペンというものは、ほとんどがいつの間にかなくなってしまうものだと思っていた。このシャーペンも30数年の間に幾度も行方不明になった。でもまた何処からか出てくるから不思議だ。建築士の製図の試験も、旅行中のスケッチも、そしてたくさんのアイディアもこのシャーペンの助けを借りた。今では下地の真鍮が覗いている。でもだんだん、しっくりと自分の手に馴染んできてる。同じメーカーの同じものを買ってみたが、でも何処か違う。近年、普段にはPentelの0.4と0.5にB硬度の芯を使用しているが、クライアントとの打ち合わせには、なぜか、あの渋いグリーン色のシャーペンの方がしっくりくる。うまくまとまりそうな気がするのだ。今、実施設計はPCでの作業が多くなってきたが、スケッチにはどうしても鉛筆(シャーペン)がかかせない。考えてみるとこのように、いつまでも使える身近な道具がだんだん少なくなっている気がする。
 昔は文豪のデスクには年期の入った萬年筆と原稿用紙という光景が普通だと思っていたものだが、今ではなかなかお目にかかれなくなってきた。
 使い捨てでなく、使えば使うほど手に馴染む愛着のある道具。いつのまにか自分の分身とまで感じられるまでになり得る、道具という言葉では書き足りないくらいの「どうぐ」…。そんな道具達に一体自分はこれからどのくらい出逢えるだろうか…。

Faber-Castellのアドレス
http://www.nshcgj.jp/brands/faber_castell/main.htm

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LAST UPDATE [ Fri, 2003-04-11 13:12 ]
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