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S邸の格子 |
輪島の町屋で現在残っているものは、明治以降に建てられた〈浜屋造り〉が多いが、安政時代に建てられた〈平入り〉の町屋が一軒残っている。材木商として栄えた当家のファサードは虫籠(ムシコ)戸が入っている。竪繁格子は、見付14mm、アキ18mmで内側に面取りが施されていて、内から外は見易く外からは中が見えにくいスダレ効果をうまく利用している。格子の内側はかつては和紙貼だったであろうが、冬季の気象条件の厳しい中で、ガラスという新しい素材をいち早く生活に取り込み、独自の建具様式を編み出してきたのである。横桟にガラス溝を彫り、スリガラスの片引き、または引き違い戸がはめ込まれている。通常戸巾は3尺だが、6尺のものはゆったりした感じとなる。日本海側特有の湿度の高い日はこのガラスを開けて、外からの視線をあまり気にせず通風を確保しているのである。
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