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私の小学生時代は夏休みの宿題というと、今と違って何人かはボール紙の菓子箱に並べたお粗末な昆虫標本を出していた。田舎のある友人の箱には、図鑑でしか見たことのない珍しい蝶が眩しく並んでいて、ため息をついたものだ。その昆虫採集を私は今でも趣味として楽しんでいる。
展翅板とは、その蝶や蛾などの標本を作る道具である。翅を左右対称に広げ、鱗粉がとれないようにパラフィン紙テープで押さえ、玉針で固定して1〜2ヵ月乾燥し、標本にする。国内ではいくつかメーカーがあるが、なんといっても湯島のタツミ製作所のものが最高だ。内地産の桐を分厚く使い、反りや左右の狂いがない。針を刺しても程よく硬く、抜けも良い。20年以上使って針の穴だらけになったが、これからも使い続けたい。
そのタツミの伝説的な仕事師・岩瀬益太郎氏も3年前に80余歳で亡くなり、もうこの展翅板は手に入らない。

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