石田さんのPCの仕事が完成した。宣教師の住宅と、教区事務所、教会の教区サービス機能とそしていくつかのテナントのためのスペースを持つ3階建ての建物である。 もちろん外気導入式のパッシブシステムがインストールされているが、あわせて「トロンブウォール」が試みられている。 「トロンブウォールシステム」は、フランスの建築家、トロンブとミッシェルによって、ピレネー山中のオデイヨに建てられた実験住宅が最初で、考案者の名前から名づけられたものだ(図1)。コンクリートやれんが壁の代わりに水を入れたタンクを用いるものがウォーターウォール、二重のれんが壁の外側を黒色塗装してその上をガラスで覆い集熱部とし、れんが壁の中間の暖まった空気と室内の空気を循環させる仕掛けもあるが、これは考案者の名前から、ローレンスウォールと呼ばれている(図2)。
仕掛けとしては理屈に合っている「トロンブウォール」も、南面に主開口部を構成する日本の建物にはなかなか採用することのできないアイテムであった。わが国では、可能な限り南面は開放して光と眺望を確保する開口としてきた。OMシステムの集熱装置である南傾斜屋根面は、南面を主開口部とするわが国の建物の構造と両立する「奥村屋根」である。「トロンブウォール」と呼ぶように、我々の屋根は「おくむらルーフ」と呼ぶのが正しい。 建物が複数階になったとき、南面に構造としての壁体の可能性が生まれる。このPCの建物にトロンブウォールが採用されるには、この構造上の特徴と、仙台という土地の持つ緯度のポテンシャルがある。図3は「仙台」のパッシブ気候図である。見てわかるように暖房の必要な冬季に南面直面日射量のポテンシャルが高い。