OM研究所は、設計の仕事を通してOMソーラーシステムを中心としたパッシブ技術の研究開発を行っています。パッシブデザインに関わるさまざまな試みは、計測によって評価され、フォーラムに発表の場を持っています。パッシブ技術の研究はそのフィールドを建築に限ったものではなく、林業や農業での自然エネルギー利用にもその範囲を広げています。

【研究】

農業OM
 農業にとって土をつくる土中バクテリアの活動はとても重要な意味を持っている。OM式のビニルハウスでは集熱空気を土中に吹き込むことによって蓄熱を行うと共に、その風洞を利用して水や養分の供給を試み土中バクテリアの活性化を図っている。寒冷地での空気集熱式ハウス農業はさまざまな可能性を持ったものである。

太陽熱木材乾燥
 OMソーラー協会と木曽三岳奥村設計所は、長野県林業総合センター(長野県林業試験場)と共同で、太陽熱を利用した木材乾燥の実験に取り組んでいる。実験の目標は、木材の産地で材料をストックしている間に乾燥材にしてしまう「倉庫」を作ることである。OMシステムを応用してどれくらいのことが可能かを探りながら、長野県林業総合センターの開発した「高温前処理」によるドライイングセットとの組み合わせでおこなう「ハイブリッド木材乾燥」で、上質の乾燥材をローコストで得ることを試みている。ストックすることで乾燥材を得ることのできるソーラー乾燥庫が実現すれば、近くの山の木と消費地である町の関係や、山の木の流通が変化することになるかもしれない。

建築素材/瓦
 伝統的かつ魅力的な建築材料である「瓦」の素材色は「カーボングラファイト」である。製品のばらつきを嫌い、高性能を求めて製造方法が改善される中で、現在の瓦は均質でつまらないものになってしまった。文化財のメインテナンスや復元にも登場する現代の瓦と、年月のなかで苔生し美しい日本の景観をつくってきた伝統的な瓦との違いについて科学する。

水資源/合併処理浄化槽
 地球は水の惑星だがその大半は海水である。地球の淡水の量はごくわずかで、しかもその多くは氷によって占められ、人が利用することのできる河川水はわずか0.004% に過ぎない。屎尿浄化槽ではなく合併処理浄化槽は、自分が汚した水を自分できれいにして戻すという個人下水道の考え方である。

室内化学物質調査
 全国の住宅5000戸を対象とした2000年度の室内空気質調査では、全体件数の27%がホルムアルデヒトの室内濃度指針値を超え、トルエンは12.3%、キシレンは0.13%(6件)、エチルベンゼンだけ全件数が室内濃度指針値0.88ppmを下回っていた。世論を受けたメーカー側の努力で最近の建材はノンホルムに向かい、調査でも最も室内空気質が悪かったのは築4〜5年の住宅であり築2〜3年、築1年以内住宅では改善に向かっていることが報告されている。
 OMでは、システムを導入した住宅についてOMの稼動状況と室内空気質との関係の調査を行った。




【研究助成】

息壁
 東工大梅干野研究室の「息をする壁体」実験は、パッシブ換気をするための「透気性部材」の開発実験であった。OM研究所では、梅干野研実験室での「炭化稲藁材」の開発(主としてその炭化方法について)、テストピースの製作、およびテストピースでの実験室実験、を経て「実際の建物での実験」の段階を迎えていた「息をする壁体」を、(株)トモスと原建設の全面的な協力を得て実験した。「建築」という実際のもので、「息をする壁体」を実現し、その可能性を探ることは、「高気密住宅」をモチーフとしたOMシステムの新しいアプリケーションを探ることでもあった。

研究助成/融雪実験
 柳秀雄氏による融雪実験は、豪雪地におけるOMシステムのアプリケーション開発の実験であった。集熱のための屋根、ハンドリングボックスに内臓された放熱機を使ってファンを逆転させれば屋根面に温風を送り込むことが可能になる。(株)トモスの協力を得て開発された融雪モード用の制御システムとあわせて豪雪地域型OMシステムの可能性緒を探った。




【計測】

気密測定
 「熱損失係数」を分析すると、ある程度断熱強化が進むと、開口部のシングルガラスが最大負荷になることがわかる。モデルの建物で新省エネ基準(平成4年度基準)のW地域の熱損失係数を満たすためには、開口部をペアガラスで計画しなければならないことがわかる。換気負荷は、建物の内外温度差や外部風速の影響で、建物の隙間から自然に行われる「換気」を示したものであるが開口部をペアガラスにすると、この換気が最大負荷になることが分かる。「高気密」という考え方が「省エネ」に反映してくるのは、建物の断熱性能を上げて、換気負荷が最大負荷になるようになってからであった。気密性能は測定しないとわからないものである。OMでは独自に気密測定器を開発し、毎年測定キャラバンを行っている。

室内気候計測
 OMシステムは、建物それ自体の仕組みを使って太陽エネルギーを取り込むシステムなので、全ては建物の設計からはじまる。エアコンのように機械装置を取り付けて機械の働きに任せるというやり方ではない。どのような屋根にすれば太陽熱を上手く集熱できるか、どのような構造体にしたら集熱を上手く蓄えられるか、蓄熱を逃がさずに室温にうまく活かすには何が大切か、それらはすべて設計によって決まる。この設計のためのツール、それがOMシミュレーションである。
 OMでは竣工後の室内気候計測によりシミュレーションプログラムの精度を検証している。
 また、要望があれば計測を行い、建物の実際の性能とシステムの稼動状況についてもレポートするサービスを行っている。

 

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[ LAST UPDATE Thu, 2005-08-11 21:22 ]
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