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戦後の住宅不足解消のため1950年代半ばから、都市近郊に多くの公団住宅(団地)が建てられた。そして、これらの団地は、生活環境の急激な変化、単調な間取りやファサードなどから次第にマイナスイメージが強くなってきている。また現在、それらの多くが建て替えの検討がなされる時期にさしかかっている。
海外においても同じように大量供給期に建てられた団地の変換期がきており、それらの多くは団地再生の際、その団地が持っているストックをいかに利用していくことで現代の生活にあった豊かな空間を作り出されるかということを検討し、新たな団地を造り出している。これに対して日本は、スクラップアンドビルドを基本とした考えが強く、持っているストックを十分に活かした都市における新たな居住空間を生み出す団地再生の手法をとるケースは未だ少数である。
本研究では、このような現状を踏まえ、日本の団地がいかに持っているストックを活かし、新たな都市居住空間を生み出すことができるか、を検証することを目的とした。そして、団地が持っているストックとして最も注目をしたのが外部空間の持つ多様性であった。これは、「マント空間」という「住戸性能を守るための空間」に対する管理や所有が曖昧だったことなどから生じた多様であり、それは長年にわたる自然の力や、園芸活動などによる住人の個人領域の拡大により培われてきたものでもあった。この外部空間のもつ多様性を対象地において調査・分析し、またこれまで居住空間の再生を行った事例などを調査することで、この外部空間を中心としたストックの効果的な活用手法とその可能性の検証を行った。そして、その結果を基に対象地において団地全体の再生計画の設計提案を行い、結びとした。
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| 講評 |
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○何より時間を経た団地の持つ外部空間の豊かさを主題においたことが優れている。作者が「マント空間」と呼ぶ団地内のオープンスペースの評価をアンケート、構成要素の分析という、客観的な指標によって示し説得力がある。また計画時の均一な外部空間利用を建築の再生に伴いいくつかの質の違うもの提案として評価、再生する提案も優れている。その分既存集合住宅の再生案が幾分弱いのが残念である。
(野沢正光氏)
○現在の団地に残された環境は、都市の高密度化によって、逆に取り残された緑地や外部空間が独特の雰囲気を持ち、実は際だって価値がある。そこに着眼している。その空間を住居性能維持のための「マント空間」と名付け、その外部空間をユニット内から、あるいは周辺にも視野を広げ、多角的に見直し、意識レベルも含めた新たな関係に価値を見いだそうとしている。「マント空間」との接点である中間領域のしくみ、あるいは周辺にまでその恩恵を広げようという再生アプローチを高く評価したい。牟礼団地でのスタディでその考えを具体的に表現し、様々な外部空間との接点を付加して団地の住棟がさわやかな図面と共に生き返ってくるような、現実的で気持ちのいい提案である。
(松岡拓公雄氏)
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