吉村順三記念ギャラリー 第1回団地再生卒業設計賞展
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タイトル: recreating AIR これからの都市。これからの団地
  「recreating AIR これからの都市。これからの団地」

 横浜の現状とポテンシャル:
横浜は現在進行形でとしの需要が減少している。空地の多さや、オフィスビルの空室率、オフィスビルの賃料などのデータを見ても明らかである。その要因として東京の需要の回復がまずあげられるが、横浜の東京化、個性の喪失ということもまたその一つである。
 このような状況の下で都市の再生が急務となっており横浜市は「文化・芸術都市」としての再生を掲げている。横浜は文化の発信地としての歴史を持ち、それに伴い個性ある様々な街並み(関内・みなとみらい・中華街・元町)が点在している。文化・芸術都市として再生するには、様々な活動を受け入れられるような時間の厚みが重要である。スクラップ・ビルドでは得ることの出来ないこの時間の厚み、つまり今ある都市に点在している個性を生かしつつ、それぞれをつなげていくことが横浜を再び活性化させるはずであり、それが横浜の個性になる。個性をつなげていく装置、すなわち都市再生の拠点を計画する。

敷地:
敷地となる海岸通り団地は、横浜の発展に伴う都市の原価に取り残された場所にある。初めは工業地帯の一角にある団地であったが、時が進むにつれて周りは商業地域になっていき、みなとみらい地区などのウォーターフロント開発もあり、現在では入居者も少なく、みなとみらい、新港地区、関内地区、という個性ある街の中心に位置し、団地という周囲に対し、閉じた存在が、大岡川・横浜湾によって分断されている三つの地域のさらなるエッジの様に感じられる。
現在、北仲地区は再開発が進められており、高層ビルが次々と建設され関内のスカイラインは崩されつつある。個性の喪失の危険性は増すばかりであり、実際に海岸通団地は都内で急増している構想の集合住宅を建設するというプランもある。

団地:
戦後、合理主義のもと数多く立てられた団地は老朽化し、建て替えが進んでいる。特にこの海岸通団地のように埋立地の工業地帯の近くに建てられるような団地は、ある意味、20世紀の象徴的風景である。しかし、ウォーターフロントの工業地帯は次々と商業地として再開発され、その変化に取り残され行き場のないこのような団地は今後さらに増えてくるだろうと予想できる。
プログラム
既存の団地をリノベーションし、クリエーター団地とアーティストインデジデンス(以後、AIR)として用途転換し再生させる。既存の団地の周囲に対して閉じ、閑散としてものから、公共性を併せ持つような開けた、刺激の多い場に生まれ変わり、ここでの生活、活動、体験によってあふれてくる様な文化芸術活動が、今ある都市の空間に浸透していく。それによりもともと個性のある都市空間が文化・芸術という共通項のもと活性化されていき、都市の雰囲気を再形成していく。

プロジェクト:
既存の団地に対する操作として、その団地とオープンスペースの間にある地と図の単一的な関係性を崩していく。今の状態では団地自体がとても閉じたヴォリュームであるし、生活その中で完結しており、オープンスペースには活動が現れにくくなっている。さらにその単一的な関係性は団地特有の平衡配列によっていっそう際立っている。そこで、まず一部を取り出し図と鳴るオープンスペース・既存のフレームに配置する。地の部分にはちょうきてきなプログラムで構成し、図の部分はそこからあふれてくる短期的なプログラムの受け皿として機能する。
*長期的プログラムのコンテンツ
 ・クリエーター団地
 ・サポートユニット
 ・AIRのギャラリーおよびオフィス
 ・AIRのアーティストのライフスペース
ここでいう短期的なプログラムはオープンスペースやAIRにおけるワークスペースである。これらは外に対して開かれたものであり、活動は情報として生活者や来訪者に伝わり、行為を誘発する刺激となる。
既存の団地は活気あふれる刺激的な場所になり、20世紀の産物から、横浜のこれからを創造していく新しい施設となる。

   
講評
 
 

再開発のすすむ横浜のウオーターフロントに取り残された団地を発見したことがこの計画の手柄である。ここをアーティストインレジデンス、クリエーターの拠点としようとの企図はこの土地の個性が説得力となっている。計画は既存住棟間のオープンスペースをギャラリー、カフェ等として活用することとガラスのスキンを纏う既存住棟の再生が絡み合って計画されているところに妙味がある。三つの外部が反転する関係にあるのもいい。大胆にもスケルトンのみ、裸にされた既存部の構造は大分危なっかしいのだが
(野沢正光氏)



横浜の都市を背景に、再開発に取り残されていくであろう、20世紀の遺物である団地の風景を継承し、再生の要素として、新しく台頭してきた文化、芸術活動というニーズを半公共的な形で、取り込んでいこうという発想は健全であろう。既存の住棟からにじみ出してきた、目的空間が新しい外部空間を創出、ネガとポジの関係がやがてひとつの新たな環境へと、段階的に再構成されていく提案である。技術的、構造的な再生プロセスのイメージは弱いが、場所性、都市性を読み込んだ長期的な団地再生のプログラムの提案として評価するのが妥当である。
(松岡拓公雄氏)

 
   

 

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