吉村順三記念ギャラリー 第1回団地再生卒業設計賞展
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タイトル: ダンチノユクエ
 
「ダンチノユクエ」
 

 これからの分譲型集合住宅はどのように変化していくのであろう。今までのように建替え・改修・修繕を繰り返し、そのたびに行われる合意形成の中で少数意見は切り捨てられていくのであろうか。大きな変化を迎えるたびにそこに生まれ根付いた人間関係は失われていく・・・そのような変化しか集合住宅には選択肢がないのだろうか。
人の住まう場がこれまでのように時間を切り、過去を繰り返すような変化をして良いとは思えない。そこに住みつづけたいと思う人がいる限り、それを可能にしていかなければいけない。そうでなければ集合住宅は懐かしむような記憶を作り出せなくなってしまう。

集合住宅という塊を家族、もしくは個人といった小さい単位まで落とし、常に変化を繰り返すような住まいが必要なのではないだろうか。多くの住居を把握し変化させることは一人の設計者では不可能と思う。では建築家はそこで何をすればよいのだろうか。建築家がするべきことはこの変化を可能にする柔軟性を社会に用意し、変化のルールを設けることではないかと考える。

今回の敷地は郊外に位置する。人口の減少が予測され建替えの問題は一層深刻なものとなるであろう。しかし現在の団地には何らかの変化が求められている。

まず増築・住み替えが可能な領域を選定する。次に住戸の変化のルールを設ける。その仲で住戸は変化していく。日本の人口が減少していくと郊外の団地の住民も減少するであろう。

発展していく団地を考えなさいという人もいるかもしれない。でも僕は減少していく団地がどのようにしたら心地よく住み続けられる場所であり続けることができるかを考えたかった。場所は住民が中心となって造っていくものだと思う。そこには新しいコミュニティのありかたが生まれるのではないか。

そして記憶が重なっていく。建築家はすこし手助けをする。ルールに基づいて住宅を設計する。そう考える。

 

   
講評
 
 

私たちが将来の団地をイメージするときポジティブな「減築」をいつか考えることになるだろうと思う。この案は、そのことに触れる案である。「配慮」「変化のルール」と題された分析の部分が説得力もありしかも独特である。唐突にあらわれる廃墟のような形態も一貫したイメージの中にあることはわかる。しかし二つをつなぐ理屈がない。話題となったのはそこである。
(野沢正光氏)



住棟が増築、あるいは減築していくプロセスがユニークである。溶けていくような変身は結構、日照、日影や地形を分析し、まだ利用できる空間を探してアルゴリズムで派生していくようなシステムをデザインしているといってよい。現実性に欠けるのが欠点だが、既存の四角い団地建築が、有機的な形態へと、建築と言うよりランドスケープ的な建築に変容する様が非常に面白く、意外性と、ある種のロマンを感じさせる。ここまで変身する案は他になく、刺激的でありこのような再生形態の柔軟性は評価したい。
(松岡拓公雄氏)

 
   

 

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