吉村順三記念ギャラリー 第1回団地再生卒業設計賞展
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タイトル: いろいろ ごろも
  「いろいろ ごろも」
 

団地の持つ空間を受け継ぐ:
 「団地」は、どこに建てられていてもおなじようなグリッドやモジュールで設計されている。現在に比べると、ゆったりとられた隣棟間隔や低い天井など団地ならではの面白い空間がたくさんある。しかし、同じハコが並ぶ中でも、地域や場所によって住民が造り出す面白い空間がたくさんある。しかし同じハコが並ぶ中でも、地域や場所によって住民が造り出す生活の表情は異なる。生活のショーウィンドウのようで面白く、そのモジュールが作るスケール感や空間は「団地」のみがもつ独特の空間となっている。
 ネガティブに考えられがちな「団地の空間構成」を肯定的に考え、再生するにあたって受け継いでいきたい。

位置条件や住民、コミュニティに細やかに対応する:
団地は街である。ひとつの敷地内にも様々なコンテクストや住民、コミュニティや環境条件が存在する。例えば西向きの住棟と南向きの住棟では日照条件が異なるし1階と5階ではアプローチの仕方・プライバシーの考え方が異なる。コミュニティが豊かな場所があったり、老人の多い棟、子供の多い場所がある。一つの団地の中でも、それぞれの異なる再生手法が求められているのである。
 しかし、実際の団地再生は異なっている。団地に対して一様な再生手法をとる。バリアフリー化や二戸一化、EV設置や構造補強・・・。必要としない場所もある。位置条件や地域性、住民やコミュニティに対応しなければ効率の良い再生とはいえないのである。

工業化と再生ツールの導入:
ここで、団地が持つ「モジュール」を利用し、再生ツールの工業化を提案する。団地グリッドに従ったフレーム・ユニット・パネルを提案する。これらは、1室増築や風呂増築、EVや、デッキ、ルーバーなどであり。多様な再生手法に対応できるシステムである。
 まずRCの柱梁に対して、部レースのいらない「外付け門型鉄骨」フレームで構造補強し、それがパネル・ユニットに対する枠組みとナリ、また構造補強により増築や二戸一、大開口、メゾネット化など計画面での再生も可能になる。これらが場所や住民、コミュニティに対応しながら組み合わされ、効率の良い再生がなされる。また、この木場団地は、大阪市の昭和30〜40年代の代表的プランであるため、ここで提案する再生手法は一般化できる。
 作品タイトル「いろいろ ごろも」は、こういったツールを組み合わせることで、自分にぴったりとあった衣をそれぞれが身に着けている、というイメージからつけられたものである。

 

   
講評
 
 

「いろいろごろも」とタイトルされた案。既存の住棟に今日的な視野から欠けていると考えられるもの、それらをいろいろ、衣のように纏わせる、しかもそれを「工業化システム」として考えるという提案である。ここでは耐震、環境、生活、など多様なテーマを均一な工業化技術として取り扱っているところが面白く感じた。耐震壁も、ダブルスキンも、エレベータも増築ユニットも、バルコニー付設も。この視点は生活者市民にとってきわめて普通のもののはずである。工学部で学ぶ人が失いがちな視点ではないか。最終ページの手描きの配置図画がその眼差しを示す。
(野沢正光氏)



構造技術面、エネルギー面、機能面、環境面、システムなど様々なレベルでの再生手法を説きながら、実際の例をケーススタディし、画一的な再生でなく、個別に対応していくことを提示したある意味で現実的で正当な、期待されていたひとつの案と言ってよい。具体的にはこの案は、既存の住棟の配置や構成を守り、むしろ固定された均質な団地モデュールをベーシックフレームとして捉え、表層的な再生手法に徹しているが、周辺との関係や棟ごと、あるいは個々のユニットへの対応など、生活者の視点から、きめ細かく内外の空間を捉えており、生活の豊かさが伝わる案であることが評価される。
(松岡拓公雄氏)

 
   

 

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