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建築の設計は十分おもしろい仕事です。又、充実感満足感を得ることのできる仕事です。それは、この仕事が建築という「物」を扱うことを通して「人」のことを考えることによっていると思います。「人」のことを考えることは「社会」について考えるともいえますから「社会」から「技」「物」を通して「社会」「人」にサービス(本当の意味の)する、「社会」からのレスポンス=返答の多い、それだから充実感のある仕事であると考えます。そのために我々は「技」をみがき「人」「社会」を考える必要があります。「住宅」を考えることは、そのためのとても重要な手段であることは、ごく分かりやすい事実です。「社会」の最小単位である家庭のための『建築』。これを十分考え続けることは吉村順三先生がかつて我々に教えてくれたごとく『建築』を考える基底であり同時に到達点であるのかもしれません。ひるがえって現状の大学教育のカリキュラムの中の「住宅」設計の位置付けをみますとそれは「初心者のための一回限りの入門講座」といった位置づけになっていることが多いのはなぜでしょうか。住宅の設計を大人の思考で考えることのできる教員がごく限られていること、バブル・就職等の外的状況がカリキュラムをより大型の建築をこなすことに走らせたこと。教養2年、専門2年の教育過程が余りにも短すぎることなどいくつもの理由が考えられます。「社会」「人」との応答のない『建築』は本来『建築』の重要な資格を欠いたものですからこのことにうっすらと不満足感を感じている今勉強中の学徒、仕事を始めて数年の若き建築家は数多く存在すると信じます。今回我々が土曜建築学校の設立を試みることを決心したのは以上のような状況への認識と、我々の考える「住宅」=『建築』を土曜建築学校に集まる「人々」=「学徒」にさらすことによってよりタフなものにし、より開かれたものにする必要を思うからであり、建築の立脚点を一から考え直すことが
重要と考えるからです。土曜、ここに糾合する諸君は我々の同僚であり生徒であり友人です。我々はでき得る限りの手段で君たちを遇したいと考えています。週末の土曜の午後、ここに集まることが平日の5日間を越えた充実をもたらすことを我々は目指したいし、きっとそうできると信じています。
土曜建築学校校長 野沢正光
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