主要用途:情報・展示施設(太陽光熱発電/風力発電)
設計者:木曾三岳奥村設計所+OM研究所
設備:同上
施工:和田建設工業
OMソーラー部分:木曾三岳奥村設計所
構造規模:木造2階建
竣工:1996年7月
敷地面積:1,000m2
建築面積:136.8m2
延床面積:182.8m2(1階/118.8m2 2階64.0m2)
日本で2回目の開催となるPLEA国際会議が、(社)日本建築学会・PLEA1997日本委員会の主催で、1997年1月8日から10日まで、北海道釧路市の釧路市国際交流センターで開催されました。「持続可能な社会に向けて--北の風土と建築--自然に親しむ すまい くらし まち」をテーマに、厳冬期、厳寒の地の釧路市で開かれたこの会議は、年明け早々の会期でありながら、世界33ヶ国から1174人が集まり、熱気溢れる3日間となりました。建築や都市計画の研究者、設計や施工の実務家の他、住宅や街づくりの政策担当者、さらに学生や釧路市民と、幅広い分野の方々が参加したこの会義は、専門分野の枠を越えた、今までのPLEA国際会議にない、裾野の広い会議となりました。OMソーラー協会では、このPLEAの主旨に賛同し、1989年のPLEA‘89奈良国際会議に引き続き、この会議の事務局を担当しました。
この国際会議に先立ち、会議の会場である釧路市国際会議センターの前庭に、インフォメーションセンター「プレアセンター」の建設が計画されました。厳寒の地で真冬に開催されるパッシブとローエナジーをテーマとした市民参加型の国際会議において、国内外の専門家や開催地である釧路市民の方々に、日本におけるパッシブおよび低エネルギー建築の実際と、次世代技術を紹介したいとの考えから、日本建築学会PLEA国際会議実行委員会を施主として、その実現へと運びました。そして、この「プレアセンター」に、太陽エネルギーを利用するOMソーラーシステムや風力発電が取り入れられました。さらに、この建設にあたっては、OMシステムのネットワークで整備されたその時点での最新のハードウエアを組み合わせ、今回のインフォメーションセンター「プレアセンター」建設の主題である「日本でのパッシブソーラー技術とその実際」についての具体的な回答を示しました。
太陽電池と風力発電
「プレアセンター」では、エネルギー自給住宅のモデルとして、建材一体型のアルモファス太陽電池と、ガラス付き集熱パネル内臓アルモファス太陽電池、そして風力発電の自家発電を、系統を連係することによって逆潮流ありの売買電を行っています。このことによって、発電量が自家使用を超えてあるときには、電力会社に電気を買ってもらい、電気を必要とするときには、商電を買うというかたちで、蓄電池を持たずに、電力の自給を可能にしました。また、太陽光発電の行えない状況では風力に恵まれることが多く、風力発電と太陽光発電との相互補完作用によって、エネルギー自給率を高めています。
このデータは、PLEA国際会議開催2日目、1月9日午前7時から翌日の午前6時までの実測値です。この間外気温は一日中0℃を割り、−6.8℃を最低に、平均−4.2℃でした。しかし室内は、日中、平均47.9℃の集熱が5時間行われ、その結果として、補助暖房なしで、室温は最高26℃、最低15.9℃を記録しています。これを平均すれば、室温21.2℃に維持することができていることがわかります。
集熱パネルの試み
「プレアセンター」に使用された集熱パネルの最大の特徴は、ガラス下に太陽光発電のためのアルモファス太陽電池を組み込んだところです。このことは、アプリケーションとしてのプレファブ集熱パネルの多様性と、積雪地帯での太陽光発電の可能性を広げたといえます。(OMシステムのガラス付き集熱面は積雪地にあっても、晴天時には自然融雪によって滑落しており、一般部に雪が残っていても、雪に遮られることなく太陽の光を受けることができます。)
さて、一般的なOMシステムでは、その集熱屋根は現場で施工されるものでした。足場の悪い屋根の上で精巧な気密と断熱の施工を要求される集熱面は、その施工の技術によって性能を左右されるものであるとともに、システム全体についての正確な理解がないと、適切に施工できるものではありません。
そこで、今回開発されたのが、工場生産による集熱パネルでした。その中で模索した点は、このプレファブパネルの多様性です。パネル内部の金属パネルを、波板・太陽電池パネル・選択吸収板・カラー鉄板と、自由に組み合わせることで、設計にあわせた、適切なガラス付き集熱面を構成していくことにあります。パネルには、キャノンでテスト開発した一体型鎧5段アルモファス太陽電池と選択吸収塗料着色の金属板を入れました。屋根勾配が5寸であるのに対して、逆鎧を約3寸勾配にしたため、屋根設置時には受熱面は約8寸勾配になり、これは高緯度地域向けの仕様となります。ガラス表面での反射の問題もありますが、中の金属板を組み合わせるこのシステムは、今後地域ごとの特性に応じた、多様な集熱パネルのありかたを提案しています。
|